皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。
さて今回は
~雨仕舞い・納まり・美観を同時にかなえる実践知 ️~
建築板金は、屋根・外壁・樋・役物で建物の「皮膚」をつくる仕事。雨や風、紫外線、温度変化から躯体を守りつつ、街並みに調和する表情(ファサード)をデザインする“機能美”の世界です。図面の一本線を、実物の折り・曲げ・留め・シールに翻訳する現場力こそが品質を決めます。本稿では、素材選定→加工→取り付け→検査→維持までを横断し、今日から現場で効くコツをまとめました。♂️
ガルバリウム鋼板(SGL含む):耐食◎、軽量、コスパ良し。沿岸・工業地帯ではSGLや厚膜塗装で一段上の耐久を。
ステンレス(SUS304/316):薬品・塩害に強い。加工硬化に注意し、曲げRをケチらない。
銅:経年変化の緑青が魅力。異種金属接触腐食に要注意。
チタン・アルミ:軽量・耐食。専用工具と曲げ条件を守り、バネ戻りを読んだ型設計を。✈️
Tip:意匠色は日射反射率/耐候塗膜で選ぶ。濃色は熱歪みが出やすいので、固定ピッチとスリットで逃げを入れる。
勾配:横葺きは最低1/30、立平は1/50が目安(メーカー仕様最優先)。微勾配こそ重ね寸法・二次防水をシビアに。
水上→水下の順で施工。重ね代は流れ方向へ。
ケラバ:風を拾う。返し(ハゼ)高さとビスの風下配置で剥離を防止。️
棟包み:通気を妨げず、防水紙立上げを確実に。雨返しの折り代5〜10mmで毛細上昇を止める。
NG例:棟の空気層に断熱材を詰めてしまい、結露→腐れ。通気経路の連続性を図面で確認。
通気層:18〜24mm程度を確保。上下の入排気と胴縁割付を連続させる。
開口部:サッシ三方の水返し、下端のドレイン孔、四隅の三面接着NG。
見切り:材の異種取り合い(木・RC・ALC)は可動ジョイントとバックアップ材で追随性を。
Tip:外壁の縦ハゼは見付が揃うラインで止める。役物の“影”を味方に、ジョイントをデザインに昇華。
水切り:出幅は仕上げ厚+10〜15mm。先端はハネを付け、滴を壁面から逃がす。
見切り・笠木:笠木は天端勾配とジョイントキャップ+二重防水。端部の毛細切り込みで吸い上げ抑制。
入隅・出隅:現場曲げか既製コーナーか、メンテ難易度で選ぶ。
失敗学:役物の逃げ寸法不足で熱伸縮クラック。スリット/スライド金具で伸縮吸収を仕込む。
折り:折り代は材厚×(係数)。鋼板t0.4で7〜8mmが目安。ハゼは立ち上げ高さ10〜13mmで防水と美観を両立。
曲げ:最小Rは材質依存。ステンはR大きめ、銅は小さめ可。曲げ順序で面傷を出さない。
切り:電動すきは塗膜バリに注意。紙テープ養生+パネルソーで見付面を守る。
Tip:曲げ後の“バネ戻り”は治具でオーバー気味に作り、現場でピタ止め。
ビスピッチ:仕様書の範囲内で風荷重・熱伸縮を計算。端部は密、野中は粗の“メリハリ”。
座金・防水パッキン:締め込みすぎNG。扁平率で管理し、頭部シーリングは最小限。
下地:木下地は含水率。ALCにはプラグ・ケミカルアンカーを適材適所。
ケース:沿岸部の外壁でビス錆。→ステン頭+止水座金+下穴径適正化で再発ゼロへ。️
二面接着:バックアップ材で三面を防止。接着長と厚みを図面にも明記。
プライマー:温湿度・可使時間を厳守。雨前/結露前は避ける。
納まり:外装では**“逆L”形状で上からの水を受けない形に。
Tip:同色よりわずかに濃いシーリング色**は汚れが目立ちにくい。
散水試験:ジョイント・開口・役物周りを重点。負圧条件(送風)も再現。
赤外線サーモ:裏側の湿りを可視化。初期不良を引き渡し前に潰す。
失敗学:外壁の縦ジョイントの目地底割れ→バックアップ材径見直し+三角シールで解決。
工程写真:下地→透湿防水シート→通気胴縁→役物→本体の順で定点撮影。
タグ:材料ロット・ビス種・シール銘柄をQRで紐付け。
チェックリスト:ビス頭出・ハゼ高さ・端部返しなど“見えにくい不良”を数値化。
効果:将来の点検で再現性が確保でき、クレームの盾にもなる。
高所:手摺先行・親綱・フルハーネス。材料受け渡しは声出し合図を短く統一。
風:10m/sで外装大判パネルは中断。保管は縦置き+帯締め。
熱:夏場の金属屋根は想像以上に熱い。朝・夕シフトで品質と安全を両立。
ビス見える化:要所は露出固定+化粧キャップで将来の再締結を容易に。
笠木・役物はジョイントで分割し、単品交換できる構成に。
清掃性:樋の落葉対策、外壁の雨筋逃げを設計段階から。
課題:塩害・強風・西日。
解:SGL×高耐候塗膜、縦ハゼ外壁+通気24mm、開口は三方水返し+下端ドレイン。
結果:色褪せ・雨染み・ビス錆なし、10年点検で補修極小。
学び:素材と通気と役物の“三位一体”で長寿命化は実現する。
水・風・熱・時間を相手に、ミリの折りと数センチの余白で建物の寿命を左右する。図面・加工・施工・検査・メンテの環を回し続けることが、街の価値を quietly 高める最短ルートです。次回は意匠板金・リノベ・ZEB/ZEH対応まで踏み込み、売れる提案術を深掘りします。
有限会社銅春では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
ぜひ求人情報ページをご覧ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!
![]()