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カテゴリー別アーカイブ: 日記

建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~変遷~

 

雨仕舞いの匠から“外皮エンジニア”へ

建築板金は、屋根・外壁・雨樋・笠木・水切り・役物…建物の“雨を受け、流し、守る”部位を、金属板で形にする仕事です。素材・工法・道具・求められる性能は、社会の変化とともに大きく進化してきました。ここでは、現場視点で「何がどう変わったか」「これから何が要るか」を一気に整理します。


1|素材の変遷:銅・亜鉛鉄板から高耐久合金へ

昔:

  • 寺社や洋館では銅板、住宅では**トタン(溶融亜鉛メッキ鋼板)**が主役。加工性に優れる一方、腐食・退色への備えが課題。

いま:

  • **ガルバリウム鋼板(Al-Znメッキ鋼板)**が標準に。塩害・酸性雨に強く、薄肉でも耐久性と成形性を両立。

  • **フッ素樹脂塗装(PVDF等)**で色あせ抑制、長期美観を実現。

  • 意匠・海岸部にはステンレス、チタン、チタン亜鉛、アルミなどの高耐食・軽量素材を適材適所で選択。

これが意味すること:
素材選定は“色”だけでなく腐食環境・温度変化・熱伸縮の計算を含む“性能設計”。板金は意匠仕上げから外皮性能の要へ。


2|工法の変遷:手成形の瓦棒から、ハゼ・立平・カセットへ

昔:

  • 瓦棒葺き・波板が主流。現場で曲げ・叩き・嵌める手成形中心。

  • 雨仕舞いは経験則に依存し、納まりは職人の引き出し勝負。

いま:

  • 立平(縦ハゼ)・嵌合式立平・横葺き嵌合・はぜ折りが普及。クリップ固定+熱伸縮スライドで長尺でも破断を防ぐ。

  • 外壁は金属サイディング/角波/スパンドレル/金属カセットが標準化。二重折り返し・差し込み・シール一次止水+二次防水の考え方が浸透。

  • 屋根一体型太陽光(BIPV)や通気層付きの金属外皮で、断熱・通気・結露抑制を“外皮システム”として設計。

キーワード:
“一次止水×二次防水×通気排湿”。見切りと水返し、ドレイン経路の連続性が性能の要。


3|道具と生産の変遷:金槌からCNC・ロール成形・デジタル計測へ

昔:

  • 金切り鋏、ツカミ、ハゼ締め器、吊子…手道具で細部を作る“音と勘”の世界。

いま:

  • 現場成形ロールフォーマーで40m級の長尺立平を“継ぎなし”で製造。

  • 工場ではNCベンダー・CNCタレットパンチで役物を高精度量産。

  • 計測はレーザー測量・ドローン写真測量で屋根寸法と勾配をデータで合意

  • 品質はトルク管理・膜厚計・色差計・画像検査で“言える化”。

結果:
段取りは紙からBIM/CAD図と拾い出し表へ。**歩留まり計算(ネスティング)**で端材を削減し、誤発注・やり直しを減らす時代。


4|求められる性能の変遷:雨仕舞い→外皮総合性能へ

昔:

  • 主眼は漏らさないこと。風荷重・地震・結露は“現場合わせ”。

いま:

  • 耐風圧・水密・気密・断熱・遮熱・遮音・防火を同時に満たす外皮。

  • 熱橋(ヒートブリッジ)対策通気層の設計屋根裏の換気遮熱塗装など建築物理の知識が必須。

  • 伸縮・クリープに配慮し、固定ピッチ・クリップ仕様・エキスパンションを図面に明記。

  • 海岸・工場隣接など腐食環境区分に応じた素材・塗膜選定が当たり前に。


5|安全・法規・品質の変遷:職人技+標準化

昔:

  • 高所作業は経験頼み、墜落・切創のリスクが常態。記録は少ない。

いま:

  • 親綱・フルハーネス・先行手すり・仮設足場が前提。

  • 製品保証と紐づくため、施工写真・検査記録・材料ロットの保存が必須。

  • 防火区画・準耐火に合う不燃材下地・下葺き材の指定、屋根30分耐火の仕組み理解など法規対応力が価値に。


6|市場の変遷:新築偏重からリノベ・ストック長寿命へ

昔:

  • 新築が中心。標準納まりで回転重視。

いま:

  • カバー工法(既存上から新設)や葺き替え庇・笠木の改修が増加。

  • 雨漏り診断→原因特定→改修設計→施工→保証をワンストップで提供する板金店が台頭。

  • 景観・意匠の要件も高まり、立体曲面のハゼ葺き、丸波のR納まり、特注笠木の長尺シーム溶接など、**“美しく納める技術”**が差別化に。


7|環境・サステナの変遷:LCAで語る板金へ

昔:

  • 廃材は産廃へ。環境は“意識”。

いま:

  • 材料LCA(CO₂原単位)やEPDの提示、リサイクルルートの整備、梱包材のリターナブル化が発注要件に。

  • 高反射(クールルーフ)や太陽光一体一次エネルギー削減に直結。

  • 長寿命化=最小の環境負荷という価値観が浸透。


8|人材・教育の変遷:熟練+デジタル+チーム

昔:

  • 見て覚える徒弟制。図面は手書き、拾いは暗算。

いま:

  • 動画SOP・3D納まり図・部材拾いアプリで新人立ち上げを高速化。

  • 現場監督・設計者・板金・仮設・防水が一体で“納まりレビュー会”。

  • 職人は“叩けるだけ”ではなく、合意形成と記録もできる“外皮エンジニア”へ。


9|現場で効く「今どきの納まり」チェック(抜粋)

  • **一次止水(シール・テープ)二次防水(下葺き・立ち上げ)**の連続性

  • 水返し・水切りの寸法(10mm以上/通気層の確保)

  • 熱伸縮スライドの可動長さと、固定点の位置

  • 見切り・笠木勾配・かえし、継手部の重ね方向

  • 塩害・工場環境での素材・塗膜ランクの適合

  • **屋根換気(棟換気・軒先換気)**の有無と有効断面

  • 施工記録:トルク・膜厚・写真・ロットの保存


10|これからの建築板金:外皮DXと一体施工へ

  • BIM連携で躯体・防水・板金の干渉をプレで潰す。

  • 現場ロール成形+ドローン計測で“長尺・継ぎ目なし・短工期”を当たり前に。

  • BIPV/通気外皮/高断熱下地を一体で提案できる“外皮パッケージ”が主戦場に。

  • デザインでは曲線立平・異素材コンビ(木×金属)黒系マットなどの“静かな高級感”が継続トレンド。


建築板金は、トタンを叩く職から建物の性能を担う外皮エンジニアへと進化しました。
素材は賢く、工法は精密に、道具はデジタルに。求められるのは、雨仕舞い・熱・風・音・火を横断する総合力です。

次の現場では、

  1. 通気と二次防水の連続性

  2. 熱伸縮の逃げ

  3. 記録と合意の“言える化”
    の3点から見直してみてください。

美しく、強く、長く持つ外皮は、板金の現場から生まれます。あなたの一折りが、建物の寿命を静かに伸ばしています。

 

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さて今回は

~“美しく、強く、長くもつ”~

金属外装は、見た目だけでなく省エネ・耐久・保全性まで設計できる時代。ここでは最新の材料・ディテール・施工DXを、発注やリニューアルの現場で役立つ形に整理します。


1|仕上げで性能が変わる:塗装と表面処理

  • 遮熱塗装鋼板:夏季の表面温度を低減、屋根の小屋裏温度ダウンに寄与。

  • フッ素樹脂塗装:退色・汚れに強い。海沿い・南面に有効。

  • 意匠特殊鋼板(石目・木目・梨地):凹凸で乱反射、汚れ目立ちにくい。

  • パンチング/リブ形状軽量化+通風+意匠を両立。


2|断熱・防音・結露:快適を板金でつくる

  • 通気金属外壁通気胴縁+断熱材で夏涼しく冬あたたか。

  • 遮音レイヤー:屋根裏に吸音材、外壁は二重下地で生活音を低減。

  • 防露透湿防水シート+通気層で結露水を外へ逃がす。


3|ソーラー&屋根一体化の時代 ☀️

  • 金属屋根は軽量で躯体負担が小ソーラー架台の固定ハゼ掴み金具など貫通しない工法が有利。

  • メンテ性を考え、配線ルート・点検歩廊を同時設計に。


4|長尺・曲げ・R納まり:現場成形のメリット

  • 現場ロール成形継ぎ目レスの長尺屋根。漏水リスク低減&工期短縮。

  • R屋根・曲面外壁ピッチ・ハゼ形状の選定が肝。テンプレよりモックアップで確認を。


5|見積り比較の“ツボ”

  • 板厚・塗装グレード・下葺き材を揃えて比較(リンゴとリンゴで比べる)。

  • 役物点数(見切り・水切り・笠木)とシーリング再施工の想定を明記。

  • 足場・仮設・廃材処分を“別途”にしない——総額比較が大事。


6|安全と品質:ルールで守る

  • 高所は二丁掛け+親綱、屋根上は開口部養生を先行。

  • 風速基準で作業可否を明文化(例:10m/sでパネル荷揚げ停止)。

  • 検査ビス頭の座り・端部かみ込み・通気連続を写真で残す。電子黒板で台帳化。


7|DXで“迷わせない現場”へ ️

  • 点群スキャン/ドローンで現況採寸→干渉ゼロの施工図

  • 展開データ(DXFなど)で折り曲げをNC化し、バラつき削減。

  • QR台帳:パネル1枚ごとに製造Lot・設置位置・写真を紐付け。保全が速い。


8|発注前チェックリスト✅

[ ] 立地(風・雪・塩害)と素材の相性
[ ] 塗装グレードと保証年数
[ ] 屋根勾配・通気層断熱のセット設計
[ ] 役物ディテール(軒先・棟・谷・開口部)図を確認
[ ] 足場・仮設・廃材処分の範囲明記
[ ] 点検周期メンテ計画書の提示


9|ケース:商業施設ファサードをスパンドレルで刷新 ️✨

  • Before:タイル外壁の汚れ・ひび。

  • After:遮熱フッ素×リブ形状スパンドレル通気層ライン照明

  • 効果:外観の統一感、夏季の体感温度低下、夜の映え来店数アップ


まとめ

建築板金は、デザイン・性能・保全を同時に設計できる“万能外装”。
素材選定→ディテール→DX管理→メンテまでを一本化すれば、美しく・強く・長くもつ建物に。
調査・試算・モックアップからお手伝いします。お気軽にご相談ください。️✨

 

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~“雨仕舞いが9割”~

建物を長持ちさせるカギは、雨を入れない・入っても逃がす・劣化を遅らせる。つまり雨仕舞いです。建築板金は、屋根・外壁・見切り・雨樋などの金属でつくる防水ディテールのプロ。ここでは、素材選びから工法、点検まで“現場で効く”要点をまとめます。


1|素材の選び方:場所と環境で決める 📦🧪

  • ガルバリウム鋼板(SGL含む):軽量・コスパ良・耐久◎。住宅〜店舗の定番。

  • ステンレス:海岸部・工場地帯など塩害や腐食雰囲気に強い。

  • 銅・チタン亜鉛:経年で美しい緑青/グレーに。社寺・意匠性重視向け。

  • アルミ:軽くて錆びにくい。大型庇や化粧パネルに。

🎯 選定ポイント:地域(積雪・風・塩害)×勾配×意匠×予算×メンテ体制。


2|屋根の基本工法と適所 📐🔩

  • 立平葺き(たてひら):長尺対応・勾配緩めOK。縦ハゼで止水力◎。

  • 横葺き:軽快な見た目。段葺きで意匠のリズムをつくる。

  • 瓦棒葺き(吊り子):下地追従性と納まりの自由度が高い。

  • 一文字葺き:和モダンの端正さ。役物(見切り)で質感が決まる。

📝 勾配が緩いほど継手の性能・通気層の確保が重要。長尺は熱伸び(膨張)に注意。


3|“雨仕舞いの三原則” 🌧️

  1. 重ねる(上から下へ水の道をつくる)

  2. 止める(ハゼ・シール・防水テープを“乾式優先”で)

  3. 逃がす(通気層・谷樋・水切りで圧力を抜く

💡 弱点になりやすい場所:軒先・棟・谷・壁際・出隅入隅・開口部まわり。ここに“手間をかける”のがプロの価値。


4|外壁と役物:細部が外観を決める 🧱✨

  • 金属サイディング/スパンドレル通気胴縁+透湿防水シートが基本セット。

  • 見切り・水切り:1〜2mmのハネ出しで毛細管現象を断つ。

  • 開口部:上→側→下の順で防水テープ。下端は三角シールで水を切る

📷 仕上げ前に:役物のビスピッチ・端部処理・ジョイント鈍角をチェック&撮影。


5|雨樋と落雪・風対策 🌀❄️

  • 樋勾配は1/200目安。集水器まわりは清掃口を。

  • 雪止め:地域の積雪基準で配置。軒先の補強下地を忘れずに。

  • 耐風:屋根端部・外壁端部はビス増しハゼ圧着強化。海沿いは防錆ねじ


6|施工品質“5つの型” 🧰✅

  1. 下葺き連続性:ルーフィング・透湿防水紙のラップ方向と寸法厳守。

  2. 留め付け座金+シーリングの使い分け。端部はビスピッチ短く

  3. 熱伸びの逃げ:長尺はスリットスライド金具で。

  4. 通気棟換気・軒通気の連続を切らない。

  5. 異種接触腐食:銅×アルミなど絶縁ライナーを挟む。


7|点検・メンテ:10分でできるセルフチェック 🕵️‍♂️🔦

  • 雨上がりに天井・サッシ上のシミ確認。

  • 軒樋の溜まり・オーバーフロー跡

  • 風の後は棟包み・軒先の浮きを目視。

  • 半年に1回、樋のゴミ取りコーキングのひびチェック。

🛠️ 推奨サイクル:屋根・外壁とも1年点検/5〜10年でシーリング再施工/15〜25年で葺き替え検討(環境により変動)。


8|ミニ事例:スレート屋根をSGL立平へリフォーム 🔁

  • 既存撤去→断熱補強+通気層→現場成形の長尺立平→棟換気

  • 仕上げ:フッ素塗装で耐候性アップ。

  • 結果:夏の小屋裏温度▲4〜6℃目安、雨音も軽減、外観はシャープに。🎉


まとめ 🌟

建築板金は細部の積み重ね。素材・工法・通気・役物・雨樋まで一体設計すれば、家は長持ちします。
現地調査→写真診断→プラン→施工→点検までワンストップでお任せください。📞🏠✨

 

 

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さて今回は

~経済的役割~

 

建築板金と聞くと、屋根や雨どい、外壁の施工といった“脇役”のイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際にはこの分野が果たしている経済的役割は非常に大きく、建設業界はもちろん、地域経済や雇用、技術継承といった広い範囲に貢献しています。

建築板金の「経済的な視点」から見た重要性を、5つの切り口で深くご紹介します。


1. 建築物の価値を左右する「機能性」と「長寿命化」

建築板金は、雨仕舞いや屋根・外壁の防水性・耐久性を担う分野です。これにより建物全体の寿命を大きく左右し、長期的な経済メリットを生み出しています。

  • 建物の維持コスト削減
     雨漏りや腐食を防ぐことで、修繕費の抑制に直結。

  • 資産価値の維持
     美観と耐久性が高い金属外装は、建物の評価額向上につながる。

特に近年は、省エネ性の高い屋根板金や断熱材一体型パネルなども登場し、住宅や商業施設の経済価値を高める要素として板金の役割が重要視されています。


2. 建設産業全体の“つなぎ役”としての価値

建築板金は、設計・構造・仕上げのすべての工程と関わる「橋渡し的な仕事」です。

  • 建設プロジェクトにおける不可欠な存在
     屋根や外壁が仕上がらなければ、内装や設備の工事が進まず、工期やコストに大きく影響。

  • 工務店・ゼネコン・板金業者の連携
     調整力と技術力が求められる業種として、プロジェクト全体の効率化に貢献。

このように、建築板金は建設業全体の生産性向上を支える縁の下の力持ちです。


3. 地域雇用・技能伝承に貢献する職人産業

建築板金は、機械化が難しい“手仕事”の要素が強い分野です。そのため、地域に根差した職人文化が色濃く残り、地元経済や雇用創出に大きく寄与しています。

  • 中小企業・個人事業主が多数活躍
     地域に密着した板金業者が住宅・公共施設・工場など幅広く対応。

  • 若手育成・技能実習制度による人材投資
     高齢化が進むなか、次世代を育てるための教育や外国人技能実習生の受け入れも活発。

また、長く働ける職人業として、地域の安定した雇用確保にもつながっています。


4. 材料・加工業界との連携による経済波及効果

建築板金で使用される材料(ガルバリウム鋼板、アルミ、銅、ステンレスなど)は、製鉄・加工・運搬といった関連業界との密接なつながりを持っています。

  • 製造業・塗装業・物流業への波及
     金属材の製造から出荷、加工、施工に至るまで多くの産業が関与。

  • 地域の加工工場との連携
     プレカット工場や折曲げ加工業者が稼働することで、地域産業の活性化を後押し。

板金業界が活発であるほど、周辺の関連企業にも安定した仕事が供給される構造が成り立っています。


5. 建築デザインとサステナブル建築への貢献

現代の建築において、金属外装は「デザイン性」「耐久性」「再資源化」の面から非常に高い評価を得ています。

  • 高意匠・高機能な外装材としての価値
     商業施設・公共施設などで、建物のシンボル性を高める役割。

  • 再利用可能な素材で循環型社会へ貢献
     ステンレスやアルミ、銅などはリサイクル可能で、環境負荷の低減とコスト削減を両立。

これは、地球環境と経済性を両立する建築物の普及にも貢献することを意味します。


建築板金は“建物の皮膚”として経済を守る

建築板金は、見えにくくても建築の生命線を守る仕事です。
そしてその役割は、個人の暮らしから都市開発、地域雇用、産業振興、さらには環境問題まで、多岐にわたる経済的価値を持っています。

  • 建物を守る=資産を守る

  • 雇用を守る=地域を支える

  • 技術を残す=未来につなげる

金属の一枚一枚が、こうした価値をつくり上げているのです。

 

 

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さて今回は

~多様化~

建築板金と聞くと、かつては「トタン屋根」や「雨どいの施工」を連想する方も多いかもしれません。しかし近年、建築板金の領域は大きく進化し、多様な建物・材料・技術へと広がりを見せています。

金属という素材の可能性を最大限に活かすその仕事は、いまや“外装の芸術”とも言える存在になりつつあります。

建築板金における「多様化」の現状を、技術・素材・デザイン・働き方の視点から深掘りしていきます。


1. 施工対象の多様化:屋根から外壁、そして内装まで

かつて建築板金の主な役割は、雨仕舞いや屋根・外壁の水密性を高めることでしたが、現在では施工対象が大きく広がっています。

  • 屋根工事(瓦棒葺き・立平葺き・折板屋根など)
     気候や勾配に応じた多様な屋根工法に対応。

  • 外壁・ファサードパネル
     軽量で高耐久の金属パネルを使ったデザイン性の高い外装。

  • 内装装飾・インテリア金属加工
     商業施設や店舗で使われる金属パネルの内装意匠施工。

  • 樋(とい)・フード・笠木などの板金加工
     建物の機能を支えるさまざまなディテールに関与。

こうして、建築板金の“守備範囲”は、もはや建物全体に広がっているのです。


2. 素材の多様化:伝統素材から次世代金属まで

一昔前は「トタン(亜鉛メッキ鋼板)」が主流でしたが、現在ではさまざまな金属が選択肢として登場しています。

  • ガルバリウム鋼板:耐久性・耐食性・軽量性に優れ、現代住宅の定番素材に。

  • ステンレス:公共施設や工場で使われる高耐候・高強度素材。

  • 銅板・チタン・アルミ:意匠性や加工性を重視した高級建築に使用。

  • カラー鋼板やフッ素樹脂焼付塗装材:色や質感の自由度が高く、デザインの幅が拡大。

これら多彩な素材に対応するため、施工者の知識や加工技術もより専門化・高難度化しています。


3. デザインニーズの多様化:建築意匠との融合

建築板金は、機能性だけでなく「見た目」の美しさが強く求められる時代に入りました。

  • シームレスな納まり:ビスや継ぎ目を隠した仕上げが求められる。

  • 複雑な形状への対応:曲面や斜面など、建築家の意匠に応じた柔軟な施工。

  • サステナブルな外観素材:リサイクル可能でメンテナンス性の高い外装材が注目。

これにより、板金職人は単なる“施工者”ではなく、建築デザイナーと並ぶ“仕上げの演出家”としての役割も担うようになっています。


4. 工法・技術の多様化:現場と工場、手仕事とデジタルの融合

施工方法も大きく多様化・進化しています。

  • 工場加工と現場施工のハイブリッド:プレカットやロール成型機による部材加工が進み、現場では短時間で高精度な施工が可能に。

  • 折り・曲げ・接合の技術革新:伝統の“手折り”技術に加え、NCベンダーやレーザー加工などの機械技術も活用。

  • 3DモデリングとBIM連携:施工前の干渉チェックや加工精度向上に寄与。

手作業とデジタル技術の融合により、建築板金は“職人の勘”に頼らずとも、品質とスピードを両立できる時代へと移行しています。


5. 働き方・人材の多様化:職人だけでない新しい関わり方

建築板金の現場では、多様な人材が活躍するようになってきました。

  • 女性職人の活躍:軽量で扱いやすい材料の登場により、女性の参入が進む。

  • 外国人技能実習生・特定技能人材の増加:技術力の国際継承も始まっている。

  • 設計・管理・営業職との連携強化:板金工事を理解するゼネコンや建築士の存在も重要に。

また、YouTubeやSNSで加工技術を発信する若手職人も増え、“魅せる技術”としての価値が高まっています。


建築板金は「建物を守る」から「建物を魅せる」へ

建築板金の仕事は今や、単なる“雨仕舞い”ではありません。
素材、工法、デザイン、技術、働き方のすべてが多様化し、建築文化の一翼を担う存在へと進化しています。

匠の技と最先端技術の融合
機能性と美しさを兼ね備えた建築演出

その最前線にあるのが、今の建築板金の世界です。
これからも、暮らしや都市の未来を「金属の力」で支えていく、その進化は止まりません。

 

 

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~一人前までの道のり~

ということで、建築板金の現場で働く若者が、職人として自立するまでのステップを、リアルに解説していきます。

 

建築板金は、屋根や外壁、雨樋、笠木などを金属で加工・施工する仕事です。雨風を防ぎ、美観を整え、建物の寿命を守る「職人技」が求められます。その一方で、機械では代替できない“現場対応力”が重要なため、一人前になるまでには時間と経験、そして精神的な成長が不可欠です。


1. 【初期段階】道具と材料に慣れる“修業の入口”

■ 作業環境と材料の理解

  • 金切りばさみ、ハンマー、折り機、ハゼ締め機などの名称と用途を覚える

  • 材料(ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス板など)の特性を体感する

■ 現場での“動き方”を学ぶ

  • 資材の運搬や清掃、職人の補助作業

  • 脚立・足場での安全な動き方、熱中症対策など体力管理

目標:「言われる前に動ける」状態を目指すこと


2. 【中期段階】加工と施工の“基本技術”を習得

■ 加工の基本

  • 簡単な曲げ、切断、穴あけ、ハゼ折り

  • 展開図をもとに、材料をどう加工するかイメージする力

■ 施工の基本

  • 屋根の葺き方(立平葺き、瓦棒葺き、横葺きなど)や、外壁の張り方

  • 雨仕舞い(防水納まり)を理解し、水の流れを読む力を育む

目標:「自分の手で一つの役物をつくれる」ことが大きな自信に


3. 【応用段階】段取りと“現場判断力”を身につける

■ 応用加工と精密な施工

  • 曲面への施工、狭所や高所での施工

  • 美観と精度の両立:目地の通り・角度・仕上げの美しさを追求

■ 段取りと段階管理

  • 材料の拾い出し(見積図からの数量確認)

  • 他職種(大工、左官、塗装など)との連携と工程調整

目標:「図面から納まりを想像し、自分の判断で動ける」こと


4. 【一人前の定義】美しさ・速さ・信頼を兼ね備える存在

■ 技術力

  • どんな形状・条件でも正確・美しく仕上げられる加工力と施工力

  • 「雨漏りさせない」「見た目を整える」ための確実な納まり判断

■ 段取り力とリーダーシップ

  • 資材手配、後輩の指導、現場の進捗管理

  • クレームやトラブル時の冷静な対処

■ 信頼の積み重ね

  • 現場監督・設計士・施主からの「任せても大丈夫」という評価

一人前とは:技術を超えた“人間力”が伴って初めて成り立つ


5. 一人前までの期間と心構え

  • 一般的には3〜7年程度で一人前とされる

  • 「教わる」から「考える」「教える」へと意識を変えていくことが鍵

  • 失敗を恐れず、謙虚に学び続ける姿勢が何よりも大切


おわりに

建築板金の道は、地味で過酷に思えるかもしれません。しかしその仕事には、一棟一棟に自分の技が刻まれ、何十年も建物を守り続けるという誇りがあります。

 

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さて今回は

~3D図面~

ということで、建築板金における3D図面の導入が現場にもたらす影響と未来展望を、実務レベルから掘り下げてご紹介します。

 

屋根や外壁、雨樋など、私たちの暮らしを雨風から守る「建築板金」。その加工・施工には熟練した技と正確な設計が求められます。そんな板金業界にも、近年“3D図面(3D CAD)”という新しいツールが急速に広がりつつあります。


1. 建築板金とは?現場で求められる精度と判断力

■ 建築板金の概要

  • 薄い金属板(ガルバリウム、銅板、ステンレスなど)を加工・取り付けし、建物の防水・装飾機能を果たす仕事

  • 屋根・外壁の仕上げ、雨樋、笠木、谷樋など多岐にわたる

  • ミリ単位の調整力と“現場対応力”が命


2. なぜ今「3D図面」なのか?

■ 施工精度の向上

  • 折り曲げ・接合・勾配処理などの細部が立体的に表現できる

  • 加工前に“納まりの確認”が正確に可能

■ 加工ミス・現場トラブルの削減

  • 平面図では見えにくい「干渉」「角度のズレ」「重なり」を事前に把握

  • 材料取り・展開図作成にも役立つため、板金加工の効率が大幅アップ

■ 職人と設計者の“共通認識ツール”

  • 手書きスケッチや口頭説明に頼らず、視覚的に伝えられる

  • 若手や外国人技能者との“技術共有”にも効果的


3. 実務での活用例とメリット

■ ソフトと連携した板金展開図の作成

  • AutoCAD、SolidWorks、Rhino、Fusion 360などの3D CADを活用

  • 立体モデルから板取り図(フラット展開)へ変換可能

■ 高所や曲面での施工に対応

  • ドーム屋根、アール壁、複雑な谷樋などに対し、正確な寸法・角度で製作指示が可能

  • 精度が要求される「ゼロクリアランス施工」にも対応


4. 現場導入の課題と乗り越え方

■ 現場の“紙図面文化”とのギャップ

  • タブレットやPCでの閲覧に慣れていない職人も

  • 対応策:印刷できる3D断面図や、簡易ビューワーの活用

■ ソフト習得のコストと時間

  • 小規模業者ではCAD人材の育成が課題

  • 対応策:外注との連携・操作の部分外注・クラウドCADの活用


5. 今後の展望:デジタル板金の可能性

■ スマート建築と板金の融合

  • BIM(建築情報モデリング)と連携することで、他工種との納まり連携がスムーズに

  • 建築全体の「施工前検証」においても板金が“見える化”される

■ AI・自動展開の進化

  • 3Dモデルから自動で切断・曲げデータを生成する技術の発展

  • プレカット+現場対応という「半自動施工」の時代へ


建築板金の世界は、“手仕事の美”と“デジタルの力”が共存できる希少な分野です。3D図面を導入することで、設計の精度、加工の効率、施工の安全が大きく向上します。職人技術と最新技術が手を取り合うことで、未来の建築はより美しく、より合理的になっていくでしょう。

 

 

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建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~チェック項目~

ということで、建築板金図面確認する必ずチェックすべポイントと、よくある落とし・ミス事例解説ます。

 

 

建築板金工事は、建物風雨から守る「仕舞い職人芸」です。そしてその品質は、施工図面チェック精度によって大きく左右ます。展開て“そのまま良い”という姿勢では、まり不良・漏水事故・加工による損失発生する可能性高まります。


1. 図面チェック目的は?

図面チェックすることられる以下よう効果です

  • 寸法まり整合性確認

  • 加工ミス・まり不良未然防止

  • 仕舞い性能確保

  • 干渉・納期ズレ回避

  • 材料精度向上によるコスト削減

つまり、図面チェックは“事故未然防ぐ、職人目利き力”そのものです。


2. 図面チェック項目

項目 チェック内容 注意
寸法(さ・幅) 設計寸法現場実測照合 開口コーナー誤差やすい
寸法 板金同士重ね 最低20mm以上、風向き・流れ方向考慮
勾配 軒先・樋・笠木傾斜 1/50以上確保いるか確認
取り合い 外壁・サッシ・屋根接点 干渉ない確認
まり形状 コーナー・げ・止め種類 現場実現できる形状見極める
素材 t=0.4/0.5/0.8、ガルバ・ステなど 加工方法現場条件適合いるか

3. 注意すべポイントよくある失敗

⚠️ ず漏した

図面では見えない「返し」位置確認怠ると、台風時に逆流毛細管現象発生

⚠️ まり通りない

加工半径角度無理ある場合、現場加工不能・美観不良

⚠️ 勾配不足たまる

笠木ほぼ水平で、排水不良→漏れ・腐食・クレーム原因

⚠️ 取り合い図面記載ていない

特に職(防水・サッシ)責任境界不明で、施工後に“責任か”揉める原因


4. 図面チェック連動させる現場対応

  • 現場実測反映設計の通り現場できいるか必ず現場採寸確認

  • 展開再検討複雑まり場合、CADデータから展開確認

  • 打合せ記録板金以外取り合い部分についてメール写真記録残す

  • 材料リスト照合図面からした展開寸法と、出し数量ズレ注意


5. 職人図面決める

図面万能ではありません。ときに「このままたら現場ない」というケースあります。だからこそ

  • 経験現場知識かして“読み取る力”

  • 疑問あれば「先回り問い合わせる姿勢」

  • 加工後に手遅れならないよう“事前止める”勇気

こうした職人図面が、現場信頼れる板金屋」なる条件です。


図面読むものではなく、“検証する”もの」

建築板金において、図面チェック単なる確認作業ではありません。それは、「現場安全」「仕舞い品質」「まりさ」守るためプロ判断作業です。

図面通り”ではなく、“図面以上”届ける本物職人その第一歩が、丁寧徹底的図面チェックです。

 

 

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さて今回は

図面書き出し

ということで、建築板金における図面書き出しなぜ重要か、どんな工程技術必要掘り紹介ます。

 

 

 

建築板金工事は、屋根・外壁・水切りなどの“建物から守る”重要部分担う職種です。中でも、図面の「書き出し」作業は、現場加工つなぐ橋渡し1板金部材に対してどれだけ正確情報整理し、展開できるで、施工精度仕上がり決まるといって過言ではありません。


1. 書き出しか?~図面情報の「加工翻訳作業」

設計図面建具図、などから、現場使う板金部材正確寸法・位置・取付位置・まり抜き出し、加工展開落とし込む作業を「図面書き出し」ます。

情報抽出項目

  • 板金部材さ・幅・角度

  • 下地寸法・逃げ寸法

  • ジョイント重ねろ・勾配補正

  • 現場ごとまり形状パラペット、笠木、など)

この書き出し正確でなければ、漏れる・部材ない・加工やり直しといった致命トラブル招きます。


2. 図面書き出し重要理由

1. 加工精度確保

板金ミリ誤差が“仕舞い不良”つながります。図面書き出し正確あれば、工場加工でも現場加工でも迷いなくなります。

2. まりミス防止

設計図面実際現場では差異がちです。現場寸法調整形状変更考慮した書き出しが、スムーズ施工直結ます。

3. 部材い・材料ロス削減

材料手配段階部材サイズ数量正確出すは、図面書き出しによる正確展開寸法せん。


3. 書き出し時に確認すべポイント

項目 内容 注意
寸法 上下部材 最低20〜30mm一般基準、風圧考慮
勾配補正 斜面角度反映 笠木・では必須、水平ない
展開 半径・R取り によって伸び補正必要
現場まり 接合部・シーリング 返し・逃げ寸法明記
取り合い関係 屋根・壁・サッシ接続 職種干渉確認必須

4. 書き出しミスもたらすリスク

  • 加工サイズ違い → 加工・納期遅延

  • 不足 → 雨水侵入による漏水・クレーム発生

  • 角度計算ミス → 不良、美観損失・強度不足

  • 不足 → 現場加工継ぎ足し・不安定まり

板金工事は“見えない部分こそ丁寧に”鉄則。図面書き出し甘いと、見えない場所建物寿命縮むです。


5. デジタル加工時代書き出し対応

現在では、CAD・CAM展開データし、工場シャーリングベンダー自動加工する事例増加です。これにより

  • 図面データ直接加工連携

  • 展開寸法・角度ミスエラー検出

  • 作業平準化・省力実現

ただし、最初書き出しミスそのまま機械流れるため、初期チェック精度より一層重要なります。


書き出し」職人の“段取り力”結晶

建築板金における図面書き出しは、ただの「準備作業」ではありません。それは、加工・施工・安全・仕上がりすべて決める職人段取りです。

書き出し始まり、書き出し終わる”それほどまでこの作業重要あり、プロとして信頼品質支える核心です。

 

 

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さて今回は

~設計~

ということで、今回は、「建築板金工事における設計とは何か?」という基本から、その目的・設計手順・注意点・設計と施工の連携のポイントまでを、ご紹介♪

 

【建築板金工事は設計で決まる】

雨仕舞から美観まで、“見えない力”を支える設計の真髄とは?

板金工事というと「施工技術が命」と思われがちですが、実際は“設計段階での質”が工事全体の成功を左右する場面が少なくありません。

特に雨仕舞や納まりの不具合、施工ミスや美観トラブルの原因は、設計情報の不備や曖昧さにあることが非常に多いのです。


建築板金設計とは?その役割と必要性


■ 板金設計とは?

建築板金工事における「設計」とは、建物の屋根や外壁、笠木、雨樋、水切りなどに使用される薄板金属の種類・寸法・納まり・固定方法などを事前に決定し、図面・仕様書・施工計画に反映する作業を指します。


■ なぜ板金設計が重要なのか?

板金工事は「現場で加工すればよい」という考えもありますが、実際には以下のようなリスクが伴います

  • 調整スペースが少ない → 誤差が仕上がりに直結

  • 現場判断での加工 → 雨仕舞の不備や防水不良

  • 他工種との納まり不良 → 干渉・段差・美観低下

📌 つまり、板金工事において設計とは、「施工のための準備図面」であり、雨・風・熱・劣化に耐えるディテールを論理的に構成する作業なのです。


建築板金設計の主な内容と流れ


✅ ① 対象範囲の確認と使用材の選定

  • 屋根:立平葺き、瓦棒葺き、横葺き、折板屋根

  • 外壁:スパンドレル、角波、サイディング下見板金

  • 付属部材:笠木、ケラバ、軒先、雨押え、水切り、ドレン、雨樋

🛠️ それぞれに適した材質(ガルバリウム鋼板、カラー鋼板、ステンレスなど)と厚み、表面処理を選定します。


✅ ② 勾配と雨仕舞の設計

  • 最低勾配(例:立平葺きなら2.5寸以上)を確認

  • 棟・軒・ケラバ・谷部分の水の流れと重ね方向を考慮

  • 立上り高さ(150mm以上)とシーリング不要な構成を目指す

🌧️ 「水が入らないように設計する」のではなく、「水が入っても抜けるように設計する」のが板金の真髄。


✅ ③ 納まり詳細図の作成

  • 平面図・断面図・役物展開図の作成

  • 笠木の納まり/外壁とサッシの取り合い/屋根と外壁の収まりなどを図示

  • 実際の折り加工・ハゼ形状・重ね寸法・固定ピッチを反映

📐 2Dの平面ではなく、3D的な思考と経験が求められる領域です。


✅ ④ 板取図(割付図)・加工帳の作成

  • 長尺材の配置・ロス材の最小化を考慮

  • 現場加工 or 工場プレカットの判断

  • 曲げ角度・折り返し・クリアランス(熱膨張対策)の指示

🔧 板金はミリ単位での誤差が“目に見えるズレ”となるため、板取図の精度が仕上がりの鍵になります。


✅ ⑤ 他工種との調整(インターフェース設計)

  • サッシ・躯体・防水・外壁材との取り合い調整

  • 電気・設備配管との干渉リスク確認

  • 足場の必要性と施工順序(雨樋→外壁→仕上げなど)

📋 建築全体の工程における**“板金の位置づけ”を理解した設計**が必要です。


設計不備が引き起こすトラブル事例


⚠️ 雨仕舞の不良による漏水

  • ケラバ、笠木、サッシ取り合いでの防水切れ

  • 水の流れを考慮しない重ね順設計

  • シーリング依存の納まり

👉 重ね方向・立上り高さ・通気層の有無を見直すことで防げます。


⚠️ 熱膨張による歪み・ビビリ音

  • 長尺板金(特に立平葺き屋根)で膨張逃げがなく板が波打つ・音鳴り

  • ハゼ固定方法・ビスピッチの不適切設計

👉 膨張率を考慮したスライド機構の導入や施工手順の見直しが重要です。


⚠️ 見た目の仕上がり不良

  • 板の曲がり・斜め納め・役物と本体の色違い

  • 出隅・入隅のR寸法不一致

👉 これは**「板金の見た目」に対する設計者の理解不足**が原因で起こるケースが多いです。


現代に求められる板金設計の進化


◆ BIM・3D設計との連携

  • 複雑な屋根・外装形状を3Dモデルで確認・共有

  • 板金納まりのシミュレーション

  • 干渉チェックの自動化

💻 「CAD止まり」ではなく、“3Dで納まりが見える設計”が主流になりつつあります。


◆ 環境配慮・耐久性設計

  • 高耐候性鋼板(フッ素樹脂系)や遮熱鋼板の選定

  • 雨水再利用との連携設計(雨樋・ドレン計画)

  • 雪国・塩害地域への材料配慮

🌍 「環境に強く、長持ちする板金設計」こそが、未来の標準です。


板金設計は“雨と建物の会話を翻訳する”仕事

建築板金は、建物の外装を仕上げるだけではありません。
それは「水の流れ」「熱の動き」「建物の寿命」と対話する仕事です。

  • 雨がどう動くか

  • 板金がどう収まるか

  • 他の材料とどうつながるか

それを正確に理解し、図面という言葉に変えて現場に伝える
それが、私たちが考える「建築板金設計の使命」です。

 

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