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建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~意匠・省エネ・改修・DXで価値を上げる提案術 ⚡~

 

 

意匠性/省エネ/改修(リフォーム)/DXの4本柱で、発注者に刺さる提案と、長寿命・低維持費を両立させる実務を、事例と共に具体化します。営業・設計・工事・アフターが同じ絵を見れるよう、チェックリストも併記します。


1️⃣ 意匠板金の設計術:影とリズムで“表情”をつくる ️

  • プロファイル選択:縦ハゼ・スパンドレル・角波・小波。見付幅とピッチで“影のグルーヴ”を設計。

  • エッジの効かせ方:役物の返しを0.5〜1.0mm見せるとシャープに。

  • :ファサードは3分艶・マットが高級感と汚れ耐性のバランス◎。

  • 混構成:板金×木×コンクリは見切りの影で素材を“仲良く”見せる。
    提案Tips:A4サンプルでは伝わらない。A3幅×実ピッチ模型昼夜・晴雨の写真で“影の変化”を見せる。


2️⃣ ZEH/ZEB時代の板金:断熱・通気・反射で効かせる ❄️️

  • 高反射ルーフ:日射反射率SRIの高い色で**屋根表面温度−10〜15℃**を狙う。

  • 通気外壁:通気層で夏の蓄熱を排出遮熱シート併用でさらに効く。

  • 熱橋対策:下地金物の熱橋切断(樹脂座金・断熱ブロック)で壁体のU値を底上げ。
    営業トーク:「冷房負荷▲○%」「屋根裏温度−△℃」を簡易実測で示すと刺さる。️


3️⃣ 改修(リフォーム)で勝つ:早く・静かに・きれいに ️

  • カバー工法:既存外壁の上に胴縁+通気+新規板金。解体粉じんを抑え、営業中施設にも向く。

  • 屋根オーバールーフ:既存屋根を残し防水+新規葺きで廃材減。

  • 樋更新:既存ルート活かしつつ集水器位置最適化で雨筋解消。
    静音策:夜間は静音キャスター・防振マット・ゴムハンマー。近隣案内は工期・作業時間・緊急連絡先を明記。


4️⃣ 既存不良の“よくある原因”と対処

  1. 雨漏り:役物の水返し不足/三面接着/逆勾配。→逆L納まり・二面接着・レーザー勾配確認で撲滅。

  2. :異種金属接触/端面切断の露出。→絶縁テープ・端面シール・同材化

  3. 波打ち:熱伸縮の逃げ無し/固定過多。→スリット・可動金具・ピッチ適正化
    現調チェック水平器・ピンホールテスター・赤外線温度計を常備。


5️⃣ DXで強くなる:見積・施工・アフターの“共通言語” ️

  • 図面クラウド:最新版一本化。現場はタブレットで閲覧、赤入れ即共有

  • 材料QR:ロット・色・長さ・施工班を紐づけ。取り違いゼロ

  • 写真台帳自動化:定点+タグで半自動生成。

  • 簡易BIM/AR:役物の干渉・通気ルートを現場で重ね合わせ
    効果:手戻り−30%、説明時間−50%、クレーム−40%(当社比イメージ)。


6️⃣ 価格ではなく“総コスト”を売る:LCC思考

  • 材料+施工+メンテ10年・20年の総額を提示。

  • 再塗装周期シール更新周期カレンダー化して見せる。

  • 安い初期材でも更新が早ければ割高。ライフサイクル表で納得感をつくる。


7️⃣ 樋・雨水計画のアップグレード ️

  • 集水器の増設・位置替えでオーバーフローを抑制。

  • 枯葉ガード掃除口で維持を容易に。

  • 竪樋の意匠化:角樋+カラーでファサードと一体化。
    Tip:雨量増加時代、“百年に一度”が日常化。樋径と勾配を見直す提案は高確率で刺さる。️⚠️


8️⃣ 断熱改修×板金:内外の最適解を組み合わせる

  • 外張り断熱+通気金属外壁:熱橋少なく、既存利用可。

  • 内側断熱は結露リスク。防湿層位置を厳格に、通気確保を忘れない。

  • 屋根断熱:遮熱+通気で夏の小屋裏地獄を避ける。
    現場Tip露点温度を簡易計算して“結露線”をチームで共有。


9️⃣ 現場の“所作”がブランドを作る:見た目の丁寧さ ✨

  • 養生色の統一工具の整列端材の即時回収

  • ビス頭の方向を揃えるだけで仕上がりが締まる。

  • 近隣への一礼・朝夕の清掃は最強の広告。


事例1:木造戸建の全面外装更新(郊外・築25年)

  • 要望:雨漏り改善・温熱改善・落ち着いた意匠。

  • 提案:通気胴縁24mm+SGL縦ハゼ、開口は三方水返し+ドレイン、屋根は高反射色、樋径UP。

  • 結果:夏の室温ピーク−2.3℃、雨漏りゼロ、ファサード評価◎
    ポイント“影の写真”で意匠を決めたこと。言葉より影が説得する。


1️⃣1️⃣ 事例2:沿岸の店舗改修(営業継続・夜間工事)

  • 課題:塩害・強風・騒音制約。

  • :SUS+フッ素焼付部材、夜間は静音工具、カバー工法で粉じん抑制。

  • 結果:営業影響最小、10年保証を付け信頼獲得。
    学び静かさの配慮が次の案件を呼ぶ。


1️⃣2️⃣ 明日から使えるチェックリスト ✅

  • 〔設計〕通気層連続/水返し寸法/可動ジョイント有無

  • 〔加工〕折り代設定/最小R確認/端面処理

  • 〔施工〕ビスピッチ/ハゼ高さ/シール二面/勾配確認

  • 〔検査〕散水試験/赤外線確認/写真台帳

  • 〔アフター〕シール更新周期/樋清掃/点検案内スケジュール
    これだけで多くの不具合は遠ざけられます。️


まとめ:板金の価値は“見えない安心×見える美しさ”の掛け算 ➕️

意匠の影、雨仕舞いの静けさ、夏の涼しさ、冬の暖かさ——それらを薄い一枚に宿すのが建築板金。素材・納まり・通気・反射・DX。小さな工夫の積み重ねが、売れる提案長持ちする建物を同時に実現します。

 

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さて今回は

~雨仕舞い・納まり・美観を同時にかなえる実践知 ️~

 

建築板金は、屋根・外壁・樋・役物で建物の「皮膚」をつくる仕事。雨や風、紫外線、温度変化から躯体を守りつつ、街並みに調和する表情(ファサード)をデザインする“機能美”の世界です。図面の一本線を、実物の折り・曲げ・留め・シールに翻訳する現場力こそが品質を決めます。本稿では、素材選定→加工→取り付け→検査→維持までを横断し、今日から現場で効くコツをまとめました。‍♂️


1️⃣ 素材選定の基本:耐久・意匠・加工性の三立 ⚖️

  • ガルバリウム鋼板(SGL含む):耐食◎、軽量、コスパ良し。沿岸・工業地帯ではSGLや厚膜塗装で一段上の耐久を。

  • ステンレス(SUS304/316):薬品・塩害に強い。加工硬化に注意し、曲げRをケチらない。

  • :経年変化の緑青が魅力。異種金属接触腐食に要注意。

  • チタン・アルミ:軽量・耐食。専用工具と曲げ条件を守り、バネ戻りを読んだ型設計を。✈️
    Tip:意匠色は日射反射率/耐候塗膜で選ぶ。濃色は熱歪みが出やすいので、固定ピッチとスリットで逃げを入れる。


2️⃣ 屋根納まりの原則:水は“重力”で動く ⬇️

  • 勾配:横葺きは最低1/30、立平は1/50が目安(メーカー仕様最優先)。微勾配こそ重ね寸法・二次防水をシビアに。

  • 水上→水下の順で施工。重ね代は流れ方向へ

  • ケラバ:風を拾う。返し(ハゼ)高さビスの風下配置で剥離を防止。️

  • 棟包み:通気を妨げず、防水紙立上げを確実に。雨返しの折り代5〜10mmで毛細上昇を止める。
    NG例:棟の空気層に断熱材を詰めてしまい、結露→腐れ。通気経路の連続性を図面で確認。


3️⃣ 外壁の要所:通気層と開口部で決まる ️

  • 通気層:18〜24mm程度を確保。上下の入排気胴縁割付を連続させる。

  • 開口部:サッシ三方の水返し、下端のドレイン孔、四隅の三面接着NG

  • 見切り:材の異種取り合い(木・RC・ALC)は可動ジョイントバックアップ材で追随性を。
    Tip:外壁の縦ハゼは見付が揃うラインで止める。役物の“影”を味方に、ジョイントをデザインに昇華。


4️⃣ 役物(やくもの)設計:5mmの攻防が仕上がりを変える

  • 水切り:出幅は仕上げ厚+10〜15mm。先端はハネを付け、滴を壁面から逃がす。

  • 見切り・笠木:笠木は天端勾配ジョイントキャップ+二重防水。端部の毛細切り込みで吸い上げ抑制。

  • 入隅・出隅:現場曲げか既製コーナーか、メンテ難易度で選ぶ。
    失敗学:役物の逃げ寸法不足で熱伸縮クラック。スリット/スライド金具で伸縮吸収を仕込む。


5️⃣ 加工の勘所:折り・曲げ・切りのクオリティ

  • 折り:折り代は材厚×(係数)。鋼板t0.4で7〜8mmが目安。ハゼは立ち上げ高さ10〜13mmで防水と美観を両立。

  • 曲げ:最小Rは材質依存。ステンはR大きめ、銅は小さめ可。曲げ順序で面傷を出さない。

  • 切り:電動すきは塗膜バリに注意。紙テープ養生+パネルソーで見付面を守る。
    Tip:曲げ後の“バネ戻り”は治具でオーバー気味に作り、現場でピタ止め。


6️⃣ 固定と下地:見えないところで差がつく

  • ビスピッチ:仕様書の範囲内で風荷重・熱伸縮を計算。端部は密、野中は粗の“メリハリ”。

  • 座金・防水パッキン:締め込みすぎNG。扁平率で管理し、頭部シーリングは最小限。

  • 下地:木下地は含水率。ALCにはプラグ・ケミカルアンカーを適材適所。
    ケース:沿岸部の外壁でビス錆。→ステン頭+止水座金+下穴径適正化で再発ゼロへ。️


7️⃣ シーリング設計:二面接着と逆Lの思想

  • 二面接着:バックアップ材で三面を防止。接着長厚みを図面にも明記。

  • プライマー:温湿度・可使時間を厳守。雨前/結露前は避ける。

  • 納まり:外装では**“逆L”形状で上からの水を受けない形に。
    Tip:同色より
    わずかに濃いシーリング色**は汚れが目立ちにくい。


8️⃣ 雨仕舞いの検証:水は必ず“試験”で裏切る

  • 散水試験:ジョイント・開口・役物周りを重点。負圧条件(送風)も再現。

  • 赤外線サーモ:裏側の湿りを可視化。初期不良を引き渡し前に潰す。
    失敗学:外壁の縦ジョイントの目地底割れバックアップ材径見直し+三角シールで解決。


9️⃣ 施工管理:写真とタグで“品質を残す” ️

  • 工程写真:下地→透湿防水シート→通気胴縁→役物→本体の順で定点撮影

  • タグ:材料ロット・ビス種・シール銘柄をQRで紐付け

  • チェックリストビス頭出・ハゼ高さ・端部返しなど“見えにくい不良”を数値化。
    効果:将来の点検で再現性が確保でき、クレームの盾にもなる。


安全と段取り:高所・風・熱を制す ️

  • 高所:手摺先行・親綱・フルハーネス。材料受け渡しは声出し合図を短く統一。

  • 10m/sで外装大判パネルは中断。保管は縦置き+帯締め

  • :夏場の金属屋根は想像以上に熱い朝・夕シフトで品質と安全を両立。


1️⃣1️⃣ メンテ設計:“直せる納まり”が最強 ♻️

  • ビス見える化:要所は露出固定+化粧キャップで将来の再締結を容易に。

  • 笠木・役物ジョイントで分割し、単品交換できる構成に。

  • 清掃性:樋の落葉対策、外壁の雨筋逃げを設計段階から。


1️⃣2️⃣ ケーススタディ:準沿岸の低層集合住宅 ️

  • 課題:塩害・強風・西日。

  • :SGL×高耐候塗膜、縦ハゼ外壁+通気24mm、開口は三方水返し+下端ドレイン

  • 結果:色褪せ・雨染み・ビス錆なし、10年点検で補修極小
    学び:素材と通気と役物の“三位一体”で長寿命化は実現する。


まとめ:建築板金は“機能をデザインする仕事” ✨️

水・風・熱・時間を相手に、ミリの折り数センチの余白で建物の寿命を左右する。図面・加工・施工・検査・メンテの環を回し続けることが、街の価値を quietly 高める最短ルートです。次回は意匠板金・リノベ・ZEB/ZEH対応まで踏み込み、売れる提案術を深掘りします。

 

 

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建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
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さて今回は

~ニーズとやりがい~

雨仕舞いの匠から“外皮エンジニア”へ

屋根・外壁・笠木・水切り・谷樋・見切り……建築板金は、建物の“外皮”の最後の一手を担います。雨・風・日射・温度差・塩害に最前面で向き合い、意匠も性能も同時に成立させる仕事。ここでは現場目線で、いま求められているニーズ(要求)と、この仕事で感じられるやりがいを整理し、実装のヒントまでまとめます。


1|いま現場が板金に求める「10のニーズ」

  1. 止水と排水の“連続性”
    一次止水(シール・テープ)と二次防水(下葺き・立上り)が切れずにつながる納まり。谷・入隅・開口周りでの“逃げ”と“かえし”が必須。

  2. 耐風圧・熱伸縮への配慮
    長尺立平は固定点とスライド点の設計、嵌合金具の選定、エキスパンションの配置。風荷重と温度差を図面で説明できること。

  3. 通気・結露抑制
    通気層の確保、軒先・棟の換気断面、透湿防水シートと金属外皮の相性。夏季の遮熱、冬季の結露を“建築物理”で解く。

  4. LCC(ライフサイクルコスト)とメンテ性
    塗膜グレード、下地材、ビス・リベットの材質統一、交換しやすい役物分割。初期費だけでなく「何年もつか」を数値で提示。

  5. 改修・カバー工法の提案力
    既存の歪み・段差・下地劣化を吸収し、撤去レスで雨仕舞いを更新。住みながら工事・夜間工事への段取り力。

  6. 意匠との両立
    細い見付け、曲線や外R、異素材(木・石・ガラス)との取り合い。ディテールで“軽やかさ”と“影の出方”をコントロール。

  7. 品質の“言える化”
    膜厚・色差・トルク・写真記録・材料ロットの管理。引渡し時に「なぜ大丈夫か」を資料で説明できること。

  8. 安全・環境配慮
    墜落・切創ゼロの計画、低VOC接着剤、端材の分別・リサイクル、梱包のリターナブル化。発注側の評価指標に直結。

  9. BIM/CADとの協働
    早期の納まりレビュー、干渉チェック、拾い出しの精度向上。変更指示をデータで素早く反映。

  10. BIPV・高断熱外皮への拡張
    屋根一体型太陽光、断熱下地、遮熱仕様など“外皮パッケージ”としての提案力。


2|“やりがい”はどこから来るのか——7つの瞬間

  1. 図面が“雨を捌く立体”に変わる瞬間
    谷の水が想定どおりに流れ、立上りで一滴も逆流しない。見えない機能が完璧に働く快感。

  2. 難所を納め切った達成感
    パラペットの連続折返し、R天端と笠木の取り合い、ルーバー基部の防水……“ここが勝負”を一発で決める仕事の手応え。

  3. 美しさと強さの両立
    細い見付け、影の通り、縦ハゼのリズム。意匠に寄り添いつつ強度も確保できたときの誇り。

  4. 数字で語れる職能
    耐風圧・換気断面・熱伸縮量・膜厚……感覚だけでなく数値で説明し、監督や設計の信頼を獲得できる充実感。

  5. 長持ちが街の風景をつくる
    10年後も色褪せず、漏らず、静かに機能し続ける。自分の仕事が街の耐候性を上げている実感。

  6. 多職種と噛み合う一体感
    防水・大工・外装・サッシ・電気と“同じ地図”で進む。段取りがハマって現場がスムーズに流れた日の満足。

  7. 後進に技術が継がれる喜び
    動画SOPや3D断面で新人が1つずつできるようになる。技が共有財産になっていく手応え。


3|発注者別「ニーズの翻訳」早見表

  • 設計者:断面図での納まり確証、意匠と性能の両立、変更時の即応、LCA/EPDの資料。

  • 現場監督:工程短縮、仮設の合理化、雨養生の確実性、写真・検査記録の整備。

  • 施主・管理者:長寿命・清掃性、将来交換の容易さ、保証内容、色・艶の経年変化。


4|そのまま提案できる「サービスパッケージ」

  • 外皮健診パック(改修向け)
    赤外線+目視+散水で漏水原因を診断 → 写真レポ&改修案(3案)提示。

  • 納まりレビュー(設計協働)
    BIM/CADで接合部の3D断面セットを作成。一次止水/二次防水/通気の連続性を可視化。

  • 品質“言える化”パック(新築向け)
    膜厚・色差・トルク・写真・ロットをQR台帳化。引渡し時にPDF一式を提供。

  • 長寿命メンテ設計
    笠木や役物をメンテナンス可能な分割に。交換手順・推奨周期を併記。


5|現場で効くチェックリスト(抜粋)

雨仕舞い・通気

  • 立上り高さ/水返し寸法は規定以上か

  • 通気層は連続し、棟・軒で有効断面が確保されているか

  • シールは一次止水で、二次防水と“二段構え”になっているか

熱伸縮・固定

  • 固定点とスライド点の位置・ピッチは図面明記済みか

  • 異種金属接触・電蝕の対策(スペーサ・同材化)があるか

品質記録

  • 膜厚・色差・締付トルクの実測値を記録したか

  • 写真は“全景→中景→接写(要点)”で残せているか

安全

  • 親綱/先行手すりが計画され、切断・折曲げの養生も準備したか


6|短いケーススタディ

ケースA:海沿いの低層ホテル・笠木からの漏水

  • 原因:下端のシール依存+通気不足。

  • 対策:二次防水の立上り見直し、笠木内に通気ルート、固定金具の同材化。

  • 結果:漏水ゼロ、室内の結露軽減、清掃性も改善。

ケースB:長尺立平屋根・夏冬で鳴き音

  • 原因:固定ピッチ過多&スライド不足。

  • 対策:固定・スライドの再配分、クリップ変更、棟・軒の換気増強。

  • 結果:異音解消、熱膨張による波打ちも収束。


7|“やりがい”を育てる職場の仕掛け

  • 見えるゴール:1日の“完成断面”をチームで共有し、到達度を写真で振り返る。

  • 言語化された技:3D断面と短尺動画で要点をSOP化。属人技を共有資産に。

  • 数字で褒める:漏水ゼロ日数、手戻り件数、膜厚合格率など“見えない努力”を指標で評価。

  • 顧客の声を近づける:引渡し後の“効いている”実感を現場にフィードバック。


8|90日アクション(すぐ効く三手)

0–30日

  • 主要な取り合い(笠木・開口・谷・軒)の3D断面テンプレ作成。

  • 膜厚・トルク・写真・ロットを束ねるQR台帳を整備。

31–60日

  • 改修向けに外皮健診チェックシート(散水手順・撮影角度)を標準化。

  • 工程初期に納まりレビュー会(設計・防水・板金)を定例化。

61–90日

  • 完成3現場のデータで「手戻りゼロ要因」を抽出→SOPへ還流。

  • 施工実績をLCC・メンテ性付きで事例化し、次受注へ活用。


おわりに——“外皮を任される”という誇り

建築板金の価値は、雨仕舞い・熱・風・意匠・安全を横断的にまとめ上げ、建物の寿命と快適を底上げするところにあります。
ニーズは高度化していますが、求められる本質は変わりません。
水を正しく導き、素材を活かし、数字で語り、記録で守る。

その積み重ねが、街の風景を強く、美しく、長持ちさせます。
今日の一折りが、十年後の“漏らない・錆びない・美しい”をつくる。——この確かさこそが、建築板金の最大のやりがいです。

 

 

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建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
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さて今回は

~変遷~

 

雨仕舞いの匠から“外皮エンジニア”へ

建築板金は、屋根・外壁・雨樋・笠木・水切り・役物…建物の“雨を受け、流し、守る”部位を、金属板で形にする仕事です。素材・工法・道具・求められる性能は、社会の変化とともに大きく進化してきました。ここでは、現場視点で「何がどう変わったか」「これから何が要るか」を一気に整理します。


1|素材の変遷:銅・亜鉛鉄板から高耐久合金へ

昔:

  • 寺社や洋館では銅板、住宅では**トタン(溶融亜鉛メッキ鋼板)**が主役。加工性に優れる一方、腐食・退色への備えが課題。

いま:

  • **ガルバリウム鋼板(Al-Znメッキ鋼板)**が標準に。塩害・酸性雨に強く、薄肉でも耐久性と成形性を両立。

  • **フッ素樹脂塗装(PVDF等)**で色あせ抑制、長期美観を実現。

  • 意匠・海岸部にはステンレス、チタン、チタン亜鉛、アルミなどの高耐食・軽量素材を適材適所で選択。

これが意味すること:
素材選定は“色”だけでなく腐食環境・温度変化・熱伸縮の計算を含む“性能設計”。板金は意匠仕上げから外皮性能の要へ。


2|工法の変遷:手成形の瓦棒から、ハゼ・立平・カセットへ

昔:

  • 瓦棒葺き・波板が主流。現場で曲げ・叩き・嵌める手成形中心。

  • 雨仕舞いは経験則に依存し、納まりは職人の引き出し勝負。

いま:

  • 立平(縦ハゼ)・嵌合式立平・横葺き嵌合・はぜ折りが普及。クリップ固定+熱伸縮スライドで長尺でも破断を防ぐ。

  • 外壁は金属サイディング/角波/スパンドレル/金属カセットが標準化。二重折り返し・差し込み・シール一次止水+二次防水の考え方が浸透。

  • 屋根一体型太陽光(BIPV)や通気層付きの金属外皮で、断熱・通気・結露抑制を“外皮システム”として設計。

キーワード:
“一次止水×二次防水×通気排湿”。見切りと水返し、ドレイン経路の連続性が性能の要。


3|道具と生産の変遷:金槌からCNC・ロール成形・デジタル計測へ

昔:

  • 金切り鋏、ツカミ、ハゼ締め器、吊子…手道具で細部を作る“音と勘”の世界。

いま:

  • 現場成形ロールフォーマーで40m級の長尺立平を“継ぎなし”で製造。

  • 工場ではNCベンダー・CNCタレットパンチで役物を高精度量産。

  • 計測はレーザー測量・ドローン写真測量で屋根寸法と勾配をデータで合意

  • 品質はトルク管理・膜厚計・色差計・画像検査で“言える化”。

結果:
段取りは紙からBIM/CAD図と拾い出し表へ。**歩留まり計算(ネスティング)**で端材を削減し、誤発注・やり直しを減らす時代。


4|求められる性能の変遷:雨仕舞い→外皮総合性能へ

昔:

  • 主眼は漏らさないこと。風荷重・地震・結露は“現場合わせ”。

いま:

  • 耐風圧・水密・気密・断熱・遮熱・遮音・防火を同時に満たす外皮。

  • 熱橋(ヒートブリッジ)対策通気層の設計屋根裏の換気遮熱塗装など建築物理の知識が必須。

  • 伸縮・クリープに配慮し、固定ピッチ・クリップ仕様・エキスパンションを図面に明記。

  • 海岸・工場隣接など腐食環境区分に応じた素材・塗膜選定が当たり前に。


5|安全・法規・品質の変遷:職人技+標準化

昔:

  • 高所作業は経験頼み、墜落・切創のリスクが常態。記録は少ない。

いま:

  • 親綱・フルハーネス・先行手すり・仮設足場が前提。

  • 製品保証と紐づくため、施工写真・検査記録・材料ロットの保存が必須。

  • 防火区画・準耐火に合う不燃材下地・下葺き材の指定、屋根30分耐火の仕組み理解など法規対応力が価値に。


6|市場の変遷:新築偏重からリノベ・ストック長寿命へ

昔:

  • 新築が中心。標準納まりで回転重視。

いま:

  • カバー工法(既存上から新設)や葺き替え庇・笠木の改修が増加。

  • 雨漏り診断→原因特定→改修設計→施工→保証をワンストップで提供する板金店が台頭。

  • 景観・意匠の要件も高まり、立体曲面のハゼ葺き、丸波のR納まり、特注笠木の長尺シーム溶接など、**“美しく納める技術”**が差別化に。


7|環境・サステナの変遷:LCAで語る板金へ

昔:

  • 廃材は産廃へ。環境は“意識”。

いま:

  • 材料LCA(CO₂原単位)やEPDの提示、リサイクルルートの整備、梱包材のリターナブル化が発注要件に。

  • 高反射(クールルーフ)や太陽光一体一次エネルギー削減に直結。

  • 長寿命化=最小の環境負荷という価値観が浸透。


8|人材・教育の変遷:熟練+デジタル+チーム

昔:

  • 見て覚える徒弟制。図面は手書き、拾いは暗算。

いま:

  • 動画SOP・3D納まり図・部材拾いアプリで新人立ち上げを高速化。

  • 現場監督・設計者・板金・仮設・防水が一体で“納まりレビュー会”。

  • 職人は“叩けるだけ”ではなく、合意形成と記録もできる“外皮エンジニア”へ。


9|現場で効く「今どきの納まり」チェック(抜粋)

  • **一次止水(シール・テープ)二次防水(下葺き・立ち上げ)**の連続性

  • 水返し・水切りの寸法(10mm以上/通気層の確保)

  • 熱伸縮スライドの可動長さと、固定点の位置

  • 見切り・笠木勾配・かえし、継手部の重ね方向

  • 塩害・工場環境での素材・塗膜ランクの適合

  • **屋根換気(棟換気・軒先換気)**の有無と有効断面

  • 施工記録:トルク・膜厚・写真・ロットの保存


10|これからの建築板金:外皮DXと一体施工へ

  • BIM連携で躯体・防水・板金の干渉をプレで潰す。

  • 現場ロール成形+ドローン計測で“長尺・継ぎ目なし・短工期”を当たり前に。

  • BIPV/通気外皮/高断熱下地を一体で提案できる“外皮パッケージ”が主戦場に。

  • デザインでは曲線立平・異素材コンビ(木×金属)黒系マットなどの“静かな高級感”が継続トレンド。


建築板金は、トタンを叩く職から建物の性能を担う外皮エンジニアへと進化しました。
素材は賢く、工法は精密に、道具はデジタルに。求められるのは、雨仕舞い・熱・風・音・火を横断する総合力です。

次の現場では、

  1. 通気と二次防水の連続性

  2. 熱伸縮の逃げ

  3. 記録と合意の“言える化”
    の3点から見直してみてください。

美しく、強く、長く持つ外皮は、板金の現場から生まれます。あなたの一折りが、建物の寿命を静かに伸ばしています。

 

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建築板金雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“美しく、強く、長くもつ”~

金属外装は、見た目だけでなく省エネ・耐久・保全性まで設計できる時代。ここでは最新の材料・ディテール・施工DXを、発注やリニューアルの現場で役立つ形に整理します。


1|仕上げで性能が変わる:塗装と表面処理

  • 遮熱塗装鋼板:夏季の表面温度を低減、屋根の小屋裏温度ダウンに寄与。

  • フッ素樹脂塗装:退色・汚れに強い。海沿い・南面に有効。

  • 意匠特殊鋼板(石目・木目・梨地):凹凸で乱反射、汚れ目立ちにくい。

  • パンチング/リブ形状軽量化+通風+意匠を両立。


2|断熱・防音・結露:快適を板金でつくる

  • 通気金属外壁通気胴縁+断熱材で夏涼しく冬あたたか。

  • 遮音レイヤー:屋根裏に吸音材、外壁は二重下地で生活音を低減。

  • 防露透湿防水シート+通気層で結露水を外へ逃がす。


3|ソーラー&屋根一体化の時代 ☀️

  • 金属屋根は軽量で躯体負担が小ソーラー架台の固定ハゼ掴み金具など貫通しない工法が有利。

  • メンテ性を考え、配線ルート・点検歩廊を同時設計に。


4|長尺・曲げ・R納まり:現場成形のメリット

  • 現場ロール成形継ぎ目レスの長尺屋根。漏水リスク低減&工期短縮。

  • R屋根・曲面外壁ピッチ・ハゼ形状の選定が肝。テンプレよりモックアップで確認を。


5|見積り比較の“ツボ”

  • 板厚・塗装グレード・下葺き材を揃えて比較(リンゴとリンゴで比べる)。

  • 役物点数(見切り・水切り・笠木)とシーリング再施工の想定を明記。

  • 足場・仮設・廃材処分を“別途”にしない——総額比較が大事。


6|安全と品質:ルールで守る

  • 高所は二丁掛け+親綱、屋根上は開口部養生を先行。

  • 風速基準で作業可否を明文化(例:10m/sでパネル荷揚げ停止)。

  • 検査ビス頭の座り・端部かみ込み・通気連続を写真で残す。電子黒板で台帳化。


7|DXで“迷わせない現場”へ ️

  • 点群スキャン/ドローンで現況採寸→干渉ゼロの施工図

  • 展開データ(DXFなど)で折り曲げをNC化し、バラつき削減。

  • QR台帳:パネル1枚ごとに製造Lot・設置位置・写真を紐付け。保全が速い。


8|発注前チェックリスト✅

[ ] 立地(風・雪・塩害)と素材の相性
[ ] 塗装グレードと保証年数
[ ] 屋根勾配・通気層断熱のセット設計
[ ] 役物ディテール(軒先・棟・谷・開口部)図を確認
[ ] 足場・仮設・廃材処分の範囲明記
[ ] 点検周期メンテ計画書の提示


9|ケース:商業施設ファサードをスパンドレルで刷新 ️✨

  • Before:タイル外壁の汚れ・ひび。

  • After:遮熱フッ素×リブ形状スパンドレル通気層ライン照明

  • 効果:外観の統一感、夏季の体感温度低下、夜の映え来店数アップ


まとめ

建築板金は、デザイン・性能・保全を同時に設計できる“万能外装”。
素材選定→ディテール→DX管理→メンテまでを一本化すれば、美しく・強く・長くもつ建物に。
調査・試算・モックアップからお手伝いします。お気軽にご相談ください。️✨

 

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さて今回は

~“雨仕舞いが9割”~

建物を長持ちさせるカギは、雨を入れない・入っても逃がす・劣化を遅らせる。つまり雨仕舞いです。建築板金は、屋根・外壁・見切り・雨樋などの金属でつくる防水ディテールのプロ。ここでは、素材選びから工法、点検まで“現場で効く”要点をまとめます。


1|素材の選び方:場所と環境で決める 📦🧪

  • ガルバリウム鋼板(SGL含む):軽量・コスパ良・耐久◎。住宅〜店舗の定番。

  • ステンレス:海岸部・工場地帯など塩害や腐食雰囲気に強い。

  • 銅・チタン亜鉛:経年で美しい緑青/グレーに。社寺・意匠性重視向け。

  • アルミ:軽くて錆びにくい。大型庇や化粧パネルに。

🎯 選定ポイント:地域(積雪・風・塩害)×勾配×意匠×予算×メンテ体制。


2|屋根の基本工法と適所 📐🔩

  • 立平葺き(たてひら):長尺対応・勾配緩めOK。縦ハゼで止水力◎。

  • 横葺き:軽快な見た目。段葺きで意匠のリズムをつくる。

  • 瓦棒葺き(吊り子):下地追従性と納まりの自由度が高い。

  • 一文字葺き:和モダンの端正さ。役物(見切り)で質感が決まる。

📝 勾配が緩いほど継手の性能・通気層の確保が重要。長尺は熱伸び(膨張)に注意。


3|“雨仕舞いの三原則” 🌧️

  1. 重ねる(上から下へ水の道をつくる)

  2. 止める(ハゼ・シール・防水テープを“乾式優先”で)

  3. 逃がす(通気層・谷樋・水切りで圧力を抜く

💡 弱点になりやすい場所:軒先・棟・谷・壁際・出隅入隅・開口部まわり。ここに“手間をかける”のがプロの価値。


4|外壁と役物:細部が外観を決める 🧱✨

  • 金属サイディング/スパンドレル通気胴縁+透湿防水シートが基本セット。

  • 見切り・水切り:1〜2mmのハネ出しで毛細管現象を断つ。

  • 開口部:上→側→下の順で防水テープ。下端は三角シールで水を切る

📷 仕上げ前に:役物のビスピッチ・端部処理・ジョイント鈍角をチェック&撮影。


5|雨樋と落雪・風対策 🌀❄️

  • 樋勾配は1/200目安。集水器まわりは清掃口を。

  • 雪止め:地域の積雪基準で配置。軒先の補強下地を忘れずに。

  • 耐風:屋根端部・外壁端部はビス増しハゼ圧着強化。海沿いは防錆ねじ


6|施工品質“5つの型” 🧰✅

  1. 下葺き連続性:ルーフィング・透湿防水紙のラップ方向と寸法厳守。

  2. 留め付け座金+シーリングの使い分け。端部はビスピッチ短く

  3. 熱伸びの逃げ:長尺はスリットスライド金具で。

  4. 通気棟換気・軒通気の連続を切らない。

  5. 異種接触腐食:銅×アルミなど絶縁ライナーを挟む。


7|点検・メンテ:10分でできるセルフチェック 🕵️‍♂️🔦

  • 雨上がりに天井・サッシ上のシミ確認。

  • 軒樋の溜まり・オーバーフロー跡

  • 風の後は棟包み・軒先の浮きを目視。

  • 半年に1回、樋のゴミ取りコーキングのひびチェック。

🛠️ 推奨サイクル:屋根・外壁とも1年点検/5〜10年でシーリング再施工/15〜25年で葺き替え検討(環境により変動)。


8|ミニ事例:スレート屋根をSGL立平へリフォーム 🔁

  • 既存撤去→断熱補強+通気層→現場成形の長尺立平→棟換気

  • 仕上げ:フッ素塗装で耐候性アップ。

  • 結果:夏の小屋裏温度▲4〜6℃目安、雨音も軽減、外観はシャープに。🎉


まとめ 🌟

建築板金は細部の積み重ね。素材・工法・通気・役物・雨樋まで一体設計すれば、家は長持ちします。
現地調査→写真診断→プラン→施工→点検までワンストップでお任せください。📞🏠✨

 

 

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さて今回は

~経済的役割~

 

建築板金と聞くと、屋根や雨どい、外壁の施工といった“脇役”のイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際にはこの分野が果たしている経済的役割は非常に大きく、建設業界はもちろん、地域経済や雇用、技術継承といった広い範囲に貢献しています。

建築板金の「経済的な視点」から見た重要性を、5つの切り口で深くご紹介します。


1. 建築物の価値を左右する「機能性」と「長寿命化」

建築板金は、雨仕舞いや屋根・外壁の防水性・耐久性を担う分野です。これにより建物全体の寿命を大きく左右し、長期的な経済メリットを生み出しています。

  • 建物の維持コスト削減
     雨漏りや腐食を防ぐことで、修繕費の抑制に直結。

  • 資産価値の維持
     美観と耐久性が高い金属外装は、建物の評価額向上につながる。

特に近年は、省エネ性の高い屋根板金や断熱材一体型パネルなども登場し、住宅や商業施設の経済価値を高める要素として板金の役割が重要視されています。


2. 建設産業全体の“つなぎ役”としての価値

建築板金は、設計・構造・仕上げのすべての工程と関わる「橋渡し的な仕事」です。

  • 建設プロジェクトにおける不可欠な存在
     屋根や外壁が仕上がらなければ、内装や設備の工事が進まず、工期やコストに大きく影響。

  • 工務店・ゼネコン・板金業者の連携
     調整力と技術力が求められる業種として、プロジェクト全体の効率化に貢献。

このように、建築板金は建設業全体の生産性向上を支える縁の下の力持ちです。


3. 地域雇用・技能伝承に貢献する職人産業

建築板金は、機械化が難しい“手仕事”の要素が強い分野です。そのため、地域に根差した職人文化が色濃く残り、地元経済や雇用創出に大きく寄与しています。

  • 中小企業・個人事業主が多数活躍
     地域に密着した板金業者が住宅・公共施設・工場など幅広く対応。

  • 若手育成・技能実習制度による人材投資
     高齢化が進むなか、次世代を育てるための教育や外国人技能実習生の受け入れも活発。

また、長く働ける職人業として、地域の安定した雇用確保にもつながっています。


4. 材料・加工業界との連携による経済波及効果

建築板金で使用される材料(ガルバリウム鋼板、アルミ、銅、ステンレスなど)は、製鉄・加工・運搬といった関連業界との密接なつながりを持っています。

  • 製造業・塗装業・物流業への波及
     金属材の製造から出荷、加工、施工に至るまで多くの産業が関与。

  • 地域の加工工場との連携
     プレカット工場や折曲げ加工業者が稼働することで、地域産業の活性化を後押し。

板金業界が活発であるほど、周辺の関連企業にも安定した仕事が供給される構造が成り立っています。


5. 建築デザインとサステナブル建築への貢献

現代の建築において、金属外装は「デザイン性」「耐久性」「再資源化」の面から非常に高い評価を得ています。

  • 高意匠・高機能な外装材としての価値
     商業施設・公共施設などで、建物のシンボル性を高める役割。

  • 再利用可能な素材で循環型社会へ貢献
     ステンレスやアルミ、銅などはリサイクル可能で、環境負荷の低減とコスト削減を両立。

これは、地球環境と経済性を両立する建築物の普及にも貢献することを意味します。


建築板金は“建物の皮膚”として経済を守る

建築板金は、見えにくくても建築の生命線を守る仕事です。
そしてその役割は、個人の暮らしから都市開発、地域雇用、産業振興、さらには環境問題まで、多岐にわたる経済的価値を持っています。

  • 建物を守る=資産を守る

  • 雇用を守る=地域を支える

  • 技術を残す=未来につなげる

金属の一枚一枚が、こうした価値をつくり上げているのです。

 

 

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さて今回は

~多様化~

建築板金と聞くと、かつては「トタン屋根」や「雨どいの施工」を連想する方も多いかもしれません。しかし近年、建築板金の領域は大きく進化し、多様な建物・材料・技術へと広がりを見せています。

金属という素材の可能性を最大限に活かすその仕事は、いまや“外装の芸術”とも言える存在になりつつあります。

建築板金における「多様化」の現状を、技術・素材・デザイン・働き方の視点から深掘りしていきます。


1. 施工対象の多様化:屋根から外壁、そして内装まで

かつて建築板金の主な役割は、雨仕舞いや屋根・外壁の水密性を高めることでしたが、現在では施工対象が大きく広がっています。

  • 屋根工事(瓦棒葺き・立平葺き・折板屋根など)
     気候や勾配に応じた多様な屋根工法に対応。

  • 外壁・ファサードパネル
     軽量で高耐久の金属パネルを使ったデザイン性の高い外装。

  • 内装装飾・インテリア金属加工
     商業施設や店舗で使われる金属パネルの内装意匠施工。

  • 樋(とい)・フード・笠木などの板金加工
     建物の機能を支えるさまざまなディテールに関与。

こうして、建築板金の“守備範囲”は、もはや建物全体に広がっているのです。


2. 素材の多様化:伝統素材から次世代金属まで

一昔前は「トタン(亜鉛メッキ鋼板)」が主流でしたが、現在ではさまざまな金属が選択肢として登場しています。

  • ガルバリウム鋼板:耐久性・耐食性・軽量性に優れ、現代住宅の定番素材に。

  • ステンレス:公共施設や工場で使われる高耐候・高強度素材。

  • 銅板・チタン・アルミ:意匠性や加工性を重視した高級建築に使用。

  • カラー鋼板やフッ素樹脂焼付塗装材:色や質感の自由度が高く、デザインの幅が拡大。

これら多彩な素材に対応するため、施工者の知識や加工技術もより専門化・高難度化しています。


3. デザインニーズの多様化:建築意匠との融合

建築板金は、機能性だけでなく「見た目」の美しさが強く求められる時代に入りました。

  • シームレスな納まり:ビスや継ぎ目を隠した仕上げが求められる。

  • 複雑な形状への対応:曲面や斜面など、建築家の意匠に応じた柔軟な施工。

  • サステナブルな外観素材:リサイクル可能でメンテナンス性の高い外装材が注目。

これにより、板金職人は単なる“施工者”ではなく、建築デザイナーと並ぶ“仕上げの演出家”としての役割も担うようになっています。


4. 工法・技術の多様化:現場と工場、手仕事とデジタルの融合

施工方法も大きく多様化・進化しています。

  • 工場加工と現場施工のハイブリッド:プレカットやロール成型機による部材加工が進み、現場では短時間で高精度な施工が可能に。

  • 折り・曲げ・接合の技術革新:伝統の“手折り”技術に加え、NCベンダーやレーザー加工などの機械技術も活用。

  • 3DモデリングとBIM連携:施工前の干渉チェックや加工精度向上に寄与。

手作業とデジタル技術の融合により、建築板金は“職人の勘”に頼らずとも、品質とスピードを両立できる時代へと移行しています。


5. 働き方・人材の多様化:職人だけでない新しい関わり方

建築板金の現場では、多様な人材が活躍するようになってきました。

  • 女性職人の活躍:軽量で扱いやすい材料の登場により、女性の参入が進む。

  • 外国人技能実習生・特定技能人材の増加:技術力の国際継承も始まっている。

  • 設計・管理・営業職との連携強化:板金工事を理解するゼネコンや建築士の存在も重要に。

また、YouTubeやSNSで加工技術を発信する若手職人も増え、“魅せる技術”としての価値が高まっています。


建築板金は「建物を守る」から「建物を魅せる」へ

建築板金の仕事は今や、単なる“雨仕舞い”ではありません。
素材、工法、デザイン、技術、働き方のすべてが多様化し、建築文化の一翼を担う存在へと進化しています。

匠の技と最先端技術の融合
機能性と美しさを兼ね備えた建築演出

その最前線にあるのが、今の建築板金の世界です。
これからも、暮らしや都市の未来を「金属の力」で支えていく、その進化は止まりません。

 

 

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さて今回は

~一人前までの道のり~

ということで、建築板金の現場で働く若者が、職人として自立するまでのステップを、リアルに解説していきます。

 

建築板金は、屋根や外壁、雨樋、笠木などを金属で加工・施工する仕事です。雨風を防ぎ、美観を整え、建物の寿命を守る「職人技」が求められます。その一方で、機械では代替できない“現場対応力”が重要なため、一人前になるまでには時間と経験、そして精神的な成長が不可欠です。


1. 【初期段階】道具と材料に慣れる“修業の入口”

■ 作業環境と材料の理解

  • 金切りばさみ、ハンマー、折り機、ハゼ締め機などの名称と用途を覚える

  • 材料(ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス板など)の特性を体感する

■ 現場での“動き方”を学ぶ

  • 資材の運搬や清掃、職人の補助作業

  • 脚立・足場での安全な動き方、熱中症対策など体力管理

目標:「言われる前に動ける」状態を目指すこと


2. 【中期段階】加工と施工の“基本技術”を習得

■ 加工の基本

  • 簡単な曲げ、切断、穴あけ、ハゼ折り

  • 展開図をもとに、材料をどう加工するかイメージする力

■ 施工の基本

  • 屋根の葺き方(立平葺き、瓦棒葺き、横葺きなど)や、外壁の張り方

  • 雨仕舞い(防水納まり)を理解し、水の流れを読む力を育む

目標:「自分の手で一つの役物をつくれる」ことが大きな自信に


3. 【応用段階】段取りと“現場判断力”を身につける

■ 応用加工と精密な施工

  • 曲面への施工、狭所や高所での施工

  • 美観と精度の両立:目地の通り・角度・仕上げの美しさを追求

■ 段取りと段階管理

  • 材料の拾い出し(見積図からの数量確認)

  • 他職種(大工、左官、塗装など)との連携と工程調整

目標:「図面から納まりを想像し、自分の判断で動ける」こと


4. 【一人前の定義】美しさ・速さ・信頼を兼ね備える存在

■ 技術力

  • どんな形状・条件でも正確・美しく仕上げられる加工力と施工力

  • 「雨漏りさせない」「見た目を整える」ための確実な納まり判断

■ 段取り力とリーダーシップ

  • 資材手配、後輩の指導、現場の進捗管理

  • クレームやトラブル時の冷静な対処

■ 信頼の積み重ね

  • 現場監督・設計士・施主からの「任せても大丈夫」という評価

一人前とは:技術を超えた“人間力”が伴って初めて成り立つ


5. 一人前までの期間と心構え

  • 一般的には3〜7年程度で一人前とされる

  • 「教わる」から「考える」「教える」へと意識を変えていくことが鍵

  • 失敗を恐れず、謙虚に学び続ける姿勢が何よりも大切


おわりに

建築板金の道は、地味で過酷に思えるかもしれません。しかしその仕事には、一棟一棟に自分の技が刻まれ、何十年も建物を守り続けるという誇りがあります。

 

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~3D図面~

ということで、建築板金における3D図面の導入が現場にもたらす影響と未来展望を、実務レベルから掘り下げてご紹介します。

 

屋根や外壁、雨樋など、私たちの暮らしを雨風から守る「建築板金」。その加工・施工には熟練した技と正確な設計が求められます。そんな板金業界にも、近年“3D図面(3D CAD)”という新しいツールが急速に広がりつつあります。


1. 建築板金とは?現場で求められる精度と判断力

■ 建築板金の概要

  • 薄い金属板(ガルバリウム、銅板、ステンレスなど)を加工・取り付けし、建物の防水・装飾機能を果たす仕事

  • 屋根・外壁の仕上げ、雨樋、笠木、谷樋など多岐にわたる

  • ミリ単位の調整力と“現場対応力”が命


2. なぜ今「3D図面」なのか?

■ 施工精度の向上

  • 折り曲げ・接合・勾配処理などの細部が立体的に表現できる

  • 加工前に“納まりの確認”が正確に可能

■ 加工ミス・現場トラブルの削減

  • 平面図では見えにくい「干渉」「角度のズレ」「重なり」を事前に把握

  • 材料取り・展開図作成にも役立つため、板金加工の効率が大幅アップ

■ 職人と設計者の“共通認識ツール”

  • 手書きスケッチや口頭説明に頼らず、視覚的に伝えられる

  • 若手や外国人技能者との“技術共有”にも効果的


3. 実務での活用例とメリット

■ ソフトと連携した板金展開図の作成

  • AutoCAD、SolidWorks、Rhino、Fusion 360などの3D CADを活用

  • 立体モデルから板取り図(フラット展開)へ変換可能

■ 高所や曲面での施工に対応

  • ドーム屋根、アール壁、複雑な谷樋などに対し、正確な寸法・角度で製作指示が可能

  • 精度が要求される「ゼロクリアランス施工」にも対応


4. 現場導入の課題と乗り越え方

■ 現場の“紙図面文化”とのギャップ

  • タブレットやPCでの閲覧に慣れていない職人も

  • 対応策:印刷できる3D断面図や、簡易ビューワーの活用

■ ソフト習得のコストと時間

  • 小規模業者ではCAD人材の育成が課題

  • 対応策:外注との連携・操作の部分外注・クラウドCADの活用


5. 今後の展望:デジタル板金の可能性

■ スマート建築と板金の融合

  • BIM(建築情報モデリング)と連携することで、他工種との納まり連携がスムーズに

  • 建築全体の「施工前検証」においても板金が“見える化”される

■ AI・自動展開の進化

  • 3Dモデルから自動で切断・曲げデータを生成する技術の発展

  • プレカット+現場対応という「半自動施工」の時代へ


建築板金の世界は、“手仕事の美”と“デジタルの力”が共存できる希少な分野です。3D図面を導入することで、設計の精度、加工の効率、施工の安全が大きく向上します。職人技術と最新技術が手を取り合うことで、未来の建築はより美しく、より合理的になっていくでしょう。

 

 

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