
皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。
さて今回は
~チェック項目~
ということで、建築板金者が図面を確認する際に必ずチェックすべきポイントと、よくある見落とし・ミス事例を解説します。
建築板金工事は、建物を風雨から守る「雨仕舞いの職人芸」です。そしてその品質は、施工前の図面チェック精度によって大きく左右されます。展開図を見て“そのまま作れば良い”という姿勢では、収まり不良・漏水事故・再加工による損失が発生する可能性が高まります。
図面をチェックすることで得られるのは以下のような効果です
実寸法と納まりの整合性の確認
加工ミス・収まり不良の未然防止
雨仕舞い性能の確保
他職との干渉・納期ズレ回避
材料拾い精度の向上によるコスト削減
つまり、図面チェックは“事故を未然に防ぐ、職人の目利き力”そのものです。
項目 | チェック内容 | 注意点 |
---|---|---|
寸法(長さ・幅) | 設計寸法と現場実測の照合 | 開口部やコーナー部は誤差が出やすい |
被り寸法 | 板金同士の重ね幅 | 最低20mm以上、風向き・流れ方向を考慮 |
勾配 | 軒先・谷樋・笠木の傾斜 | 1/50以上確保されているか確認 |
取り合い | 外壁・サッシ・屋根材との接点 | 他職との干渉がないかを確認 |
納まり形状 | コーナー・曲げ・止め方の種類 | 現場で実現できる形状かを見極める |
板厚と素材 | t=0.4/0.5/0.8、ガルバ・ステンなど | 加工方法と現場条件に適合しているか |
→ 図面上では見えない「水返し」の位置確認を怠ると、台風時に逆流や毛細管現象が発生
→ 曲げ加工の半径や角度に無理がある場合、現場での加工不能・美観不良に
→ 笠木や谷樋がほぼ水平で、排水不良→水漏れ・腐食・クレームの原因
→ 特に他職(防水・サッシ)との責任境界不明で、施工後に“誰の責任か”で揉める原因に
現場実測の反映:設計図の通りに現場ができているかを必ず現場採寸で確認
展開図の再検討:複雑な納まりの場合、CADデータから再展開し確認
他職との打合せ記録:板金以外との取り合い部分についてはメールや写真で記録を残す
材料拾いリストと照合:図面から起こした展開寸法と、拾い出し数量のズレに注意
図面は万能ではありません。ときに「このまま作ったら現場で収まらない」というケースもあります。だからこそ
経験と現場知識を活かして“読み取る力”
疑問があれば「先回りして問い合わせる姿勢」
加工後に手遅れにならないよう“事前に止める”勇気
こうした職人の図面力が、「現場で信頼される板金屋」になる条件なのです。
建築板金において、図面のチェックは単なる確認作業ではありません。それは、「現場の安全」「雨仕舞いの品質」「納まりの美しさ」を守るためのプロの判断作業です。
“図面通り”ではなく、“図面以上”を届けるのが本物の職人。その第一歩が、丁寧で徹底的な図面チェックです。
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さて今回は
~図面の書き出し~
ということで、建築板金者における図面の書き出しがなぜ重要なのか、どんな工程と技術が必要なのかを深掘りして紹介します。
建築板金工事は、屋根・外壁・水切りなどの“建物を雨や風から守る”重要な部分を担う職種です。中でも、図面の「書き出し」作業は、現場と加工をつなぐ橋渡しの要。1枚の板金部材に対してどれだけ正確に情報を整理し、展開できるかで、施工精度と仕上がりが決まるといっても過言ではありません。
設計図面や建具図、立面図などから、現場で使う板金部材の正確な寸法・折り曲げ位置・取付位置・納まりを抜き出し、加工用の図や展開図に落とし込む作業を「図面の書き出し」と呼びます。
主な情報抽出項目
板金部材の長さ・幅・曲げ角度
下地との被り寸法・逃げ寸法
ジョイント部の重ねしろ・勾配補正
現場ごとの納まり形状(パラペット、笠木、谷樋など)
この書き出しが正確でなければ、水が漏れる・部材が合わない・加工やり直しといった致命的トラブルを招きます。
板金は数ミリの誤差が“雨仕舞い不良”につながります。図面書き出しが正確であれば、工場加工でも現場加工でも迷いがなくなります。
設計図面と実際の現場では差異が出がちです。現場との寸法調整や形状変更を考慮した書き出しが、スムーズな施工に直結します。
材料手配の段階で部材のサイズや数量を正確に拾い出すには、図面書き出しによる正確な展開寸法が欠かせません。
項目 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
被り寸法 | 上下部材のかぶせ幅 | 最低20〜30mmが一般基準、風圧考慮も |
勾配補正 | 斜面や角度の反映 | 笠木・谷樋では必須、水平とは限らない |
展開長さ | 曲げ半径・Rの取り方 | 板厚によって伸び補正が必要 |
現場収まり | 壁との接合部・シーリング部 | 水返し・逃げ寸法を明記 |
取り合い関係 | 屋根・壁・サッシとの接続 | 他職種との干渉確認も必須 |
加工サイズ違い → 板が収まらず再加工・納期遅延
被り不足 → 雨水侵入による漏水・クレーム発生
角度計算ミス → 折り曲げ不良、美観の損失・強度不足
余長不足 → 現場加工での継ぎ足し・不安定な納まり
板金工事は“見えない部分こそ丁寧に”が鉄則。図面の書き出しが甘いと、見えない場所で建物の寿命が縮むのです。
現在では、CAD・CAMで展開図をデータ化し、工場のシャーリングやベンダーで自動加工する事例も増加中です。これにより
図面データが直接加工へ連携
展開寸法・角度ミスが即エラー検出
作業の平準化・省力化が実現
ただし、最初の書き出しミスがそのまま機械に流れるため、初期チェックの精度がより一層重要になります。
建築板金における図面の書き出しは、ただの「準備作業」ではありません。それは、加工・施工・安全・仕上がりのすべてを決める職人の段取り力です。
“書き出しに始まり、書き出しに終わる”それほどまでにこの作業は重要であり、プロとしての信頼と品質を支える核心なのです。
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