
皆さんこんにちは!
有限会社銅春、更新担当の中西です。
さて今回は
~図面の書き出し~
ということで、建築板金者における図面の書き出しがなぜ重要なのか、どんな工程と技術が必要なのかを深掘りして紹介します。
建築板金工事は、屋根・外壁・水切りなどの“建物を雨や風から守る”重要な部分を担う職種です。中でも、図面の「書き出し」作業は、現場と加工をつなぐ橋渡しの要。1枚の板金部材に対してどれだけ正確に情報を整理し、展開できるかで、施工精度と仕上がりが決まるといっても過言ではありません。
設計図面や建具図、立面図などから、現場で使う板金部材の正確な寸法・折り曲げ位置・取付位置・納まりを抜き出し、加工用の図や展開図に落とし込む作業を「図面の書き出し」と呼びます。
主な情報抽出項目
板金部材の長さ・幅・曲げ角度
下地との被り寸法・逃げ寸法
ジョイント部の重ねしろ・勾配補正
現場ごとの納まり形状(パラペット、笠木、谷樋など)
この書き出しが正確でなければ、水が漏れる・部材が合わない・加工やり直しといった致命的トラブルを招きます。
板金は数ミリの誤差が“雨仕舞い不良”につながります。図面書き出しが正確であれば、工場加工でも現場加工でも迷いがなくなります。
設計図面と実際の現場では差異が出がちです。現場との寸法調整や形状変更を考慮した書き出しが、スムーズな施工に直結します。
材料手配の段階で部材のサイズや数量を正確に拾い出すには、図面書き出しによる正確な展開寸法が欠かせません。
項目 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
被り寸法 | 上下部材のかぶせ幅 | 最低20〜30mmが一般基準、風圧考慮も |
勾配補正 | 斜面や角度の反映 | 笠木・谷樋では必須、水平とは限らない |
展開長さ | 曲げ半径・Rの取り方 | 板厚によって伸び補正が必要 |
現場収まり | 壁との接合部・シーリング部 | 水返し・逃げ寸法を明記 |
取り合い関係 | 屋根・壁・サッシとの接続 | 他職種との干渉確認も必須 |
加工サイズ違い → 板が収まらず再加工・納期遅延
被り不足 → 雨水侵入による漏水・クレーム発生
角度計算ミス → 折り曲げ不良、美観の損失・強度不足
余長不足 → 現場加工での継ぎ足し・不安定な納まり
板金工事は“見えない部分こそ丁寧に”が鉄則。図面の書き出しが甘いと、見えない場所で建物の寿命が縮むのです。
現在では、CAD・CAMで展開図をデータ化し、工場のシャーリングやベンダーで自動加工する事例も増加中です。これにより
図面データが直接加工へ連携
展開寸法・角度ミスが即エラー検出
作業の平準化・省力化が実現
ただし、最初の書き出しミスがそのまま機械に流れるため、初期チェックの精度がより一層重要になります。
建築板金における図面の書き出しは、ただの「準備作業」ではありません。それは、加工・施工・安全・仕上がりのすべてを決める職人の段取り力です。
“書き出しに始まり、書き出しに終わる”それほどまでにこの作業は重要であり、プロとしての信頼と品質を支える核心なのです。
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